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第二話 噂と決意

 僕が入学した翌年、王族同士の結婚式があって、
 僕たち家族がクラウンハイムから出て行くことになった。
 ママもパパもおばあちゃんと同じロークエルグに所属したけど、
 ロイヤルにぃにだけシーラエルグに所属になったみたい。
 おばあちゃんは、「これでいつでも会えるわね」って喜んでた。



噂と決意




クラウンハイムを出てからも、僕は授業が終わると、
ロークエルグにいるおばあちゃんに会いに行く。
仕事の邪魔にならないように、エルグの隅で待っていると、
僕を見た周りの大人たちはひそひそ話をはじめる。

「ねぇ、あの子また来てるわよ」
「本当。実の父親にでも会いに来ているんじゃない?」
「やぁだぁ!」

大抵噂話で盛り上がって自分たちの声が大きくなっても、
気づかないのは女の人だ。
僕がうつむきかけたとき、エルグの奥から厳しい声が聞こえてきた。

「あなたたち、子供の前でなんて話をしているの!」
「あ、アヤノさん…」
「別にわかりませんって」

おばあちゃんは僕が今まで見たことないくらい厳しい顔をしていた。

「子供はね、感受性豊で、ちゃんとわかっているのよ」
「でも…あの子があぁなのは事実ですし…」
「ねぇ」

そんなこと、言われなくたって僕自身が一番良くわかってるよ。
パパにもママにも似てないって事。いやだな…。また、ママが悪く言われるんだ。

「あなたたちの目は節穴ですか!?」

おばあちゃんの声に驚いて僕が顔を上げるとおばあちゃんの優しい瞳と目が合った。

「母親譲りの砂色の髪に、父親譲りの空色の瞳をしているじゃないの」
「でも…」
「大体、根も葉もない噂。そんなことで小さな子供を傷つけて何を考えているの?」
「別に私たちそんなつもりじゃ…」
「そうそう、ただの噂だし!」
「そんなつもりがなければいいの?じゃあ、私もしても良いかしら?」
「え…」

おばあちゃんは女の人の耳元で何か話している。
僕の位置からじゃおばあちゃんが何を言っているのか聞こえなかった。

「貴女…この間、妖魔の森に行っていたわね…旦那さん以外の男性と…」
「なっ!なんで…」
「ただの噂…でしょ?それとも、やましいことでもあるの?」
「……」
「別に誰かに言うつもりはないけど…
 これに懲りたらくだらない噂話なんかしてないで仕事なさい!」
「はっはい!」

女の人たちはおばあちゃんに怒られてそそくさと、仕事に戻っていった。
話が終わるとおばあちゃんは僕の元までやってきて、手を差し出す。

「さ、行きましょうかリベラルくん」
「うん」

おばあちゃんの手をとって、僕たちはエルグを出た。

「びっくりした…」
「何が?」
「僕、おばあちゃんがあんなに怒ってたのはじめてみたよ」
「…おばあちゃんね、噂話が大嫌いなの」
「おばあちゃんも嫌な思いしたの?」
「昔ちょっと、ね」

おばあちゃんが悲しそうな顔をしたから僕はそれ以上聞くのは止めた。
代わりにおばあちゃんの手を少し強く握ると、
おばあちゃんは優しく握り返してくれた。

「リベラルくん」
「なぁに、おばあちゃん」
「今日は、お夕飯食べていきなさいな」
「うん!」





翌日から、大人たちは僕をみてもひそひそ話をしなくなった。
そもそも僕の前でひそひそ話していたのは少しの人間だったし、
あの時エルグには人がいっぱいいたし、
元ロークエルグ長のおばあちゃんの言葉が効いたのかもしれない。
周りの大人たちが変わっても、そうすぐに変わらないのは、子供のほうだったりする。

「おい、ふぎのこ が来たぜー」
「本当だ」

“ふぎのこ”ってきっと意味もわからずに言ってる。
だけど大人に言われることに比べたら全然気にならない。
こいつらは僕のことしか言わないから。
従姉のマウイも、親友のネビルくんも気にするなって言ってくれる。
だから全然気にならない。

「黙れ、うるさい」
「ネビル…でもっ」
「オレの親友の悪口は許さない」

この国の未来を背負うネビルくんの言葉に気おされたのか、
悪口を言っていた子たちは黙った。
本当、気にしてなかったんだけど、
ネビルくんの“親友”という言葉がとても嬉しく感じたんだ。

「ありがとう…」


この時、僕は思ったんだ。
将来この国を背負って立つネビルくんの親友として、
恥ずかしくない人間になろうって。
そしていつか、僕がネビルくんのことを助けるんだって。

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