Ich verliebte mich in Sie.

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第一話 約束

眠るようにして逝った婆さんは、幸せそうに微笑んでいた。



約束





「似てない息子さんね」
「奥さんちゃんとお腹大きかったけれど…ねぇ」
「もしかしたら不義の子だったりして」

…やめて。

「いやだわ、可愛い顔してふしだらなんて」

やめろ。

「かわいそうな子」

やめろっ!!


僕は、汗だくになりながら目を覚ます。最近はいつもそうだ。
僕のママはロゼリア・ランス。クリートエルグ長を務めている。
パパはワイアット・ランス。
元王位継承十六位で今はアクアスティルグに所属してる。
僕の顔は二人のどちらにも似ていなかった。
大人たちはそんな僕のこと、陰で色々言ってる。
子供だからわからないとでも思っているのかな?
ちゃんと、わかってる。僕のせいで特にママが悪く言われてること。

「リベラル?どうしたの、元気ないわね。お腹すいた?」

ママは周りに陰口を言われてるの知っているのかな?
いつもニコニコ笑ってる。笑ってないで言い返せばいいのに。
でも何も言えないのは僕も一緒だ…。

「なんでもない…いってきます」
「遊びに行くの?気をつけていってらっしゃい」

僕の頭を優しく撫でて、ママは仕事場へと戻っていった。
出てきたのはいいけど行く当てはない。
東公園にでも行こうかとシンザー通りを歩いていると後ろから名前を呼ばれた。

「リベラルくん」
「あ、おばあちゃん」

白髪を揺らして、ママとよく似た笑顔で笑うアヤノおばあちゃんがそこに居た。

「東公園に遊びに行くのかしら?」
「ううん、おばあちゃんに会いに行こうとしてたんだよ」

嘘をついた。
おばあちゃんの家はメイビ区で、
仕事場はロークだけどシンザー通りを通る必要はない。
だから僕がここを通るのはおかしいんだけど、おばあちゃんは何も言わない。

「そう、嬉しいわ。ロゼリアが結婚してからクラウンハイムに引っ越したでしょう。
 なかなか会えないからねぇ。あぁそうそう、家にフルーツミルクがあるのよ。
 呑んで行きなさいな。」
「うん!」

おばあちゃんは僕が嘘をついても何も言わない。
ただ、僕が嘘をつくと必ずフルーツミルクを飲ませてくれる。
甘いフルーツミルクを飲みながら、
おばあちゃんが話す昔話や思い出話がすごく好きだった。

「ねぇ、おばあちゃん」
「なぁに?」
「一人で寂しくない?」

レニーおじいちゃんは僕が生まれる何年も前に亡くなったって聞いた。
ゼロ叔父ちゃんはママが結婚した翌年に結婚して家を出たって言ってた。
それからおばあちゃんはずっと一人。

「そうねぇ。やっぱり時々は寂しいって思うことあるのよ。
 でもね、最近はリベラルくんが遊びに来てくれるから、寂しくないのよ」
「そ、そっか」

なんだか嬉しかった。僕でも人の役に立てるんだって。
僕は、疫病神なんかじゃないんだって。

「僕おばあちゃんが寂しくないように遊びに来るよ!それでも寂しかったら言ってね!」
「あら、ありがとう。そのときはお願いするわね」
「約束!」

おばあちゃんと小指を絡める。するとおばあちゃんが笑って提案をしてきた。

「じゃあ、リベラルくんも一つおばあちゃんと約束しましょう」
「なぁに?」
「泣きたい時はおばあちゃん家にフルーツミルク飲みにいらっしゃい」

僕は目を見開いた。おばあちゃんは僕のことなんてお見通し。
気がついたら目から涙がこぼれて止まらなくなった。
そんな僕をおばあちゃんは何も言わずに、
ただ向かい側に座ってフルーツミルクを飲んでいる。
慰めて欲しいわけじゃない。
抱きしめて欲しいわけでも、撫でて欲しいわけでもない。
優しい言葉をかけて欲しいわけでもない。
ただ黙って泣かせてくれるそんな場所が欲しかったのかもしれない。
家には両親もにいに達もねえねも弟もいる。
でもここにはおばあちゃんしか居ない。
おばあちゃんは何も聞かなかったけど、きっと僕のことなんてお見通しなんだ。

僕が家に帰る頃にはもう外は真っ暗になっていて、
おばあちゃんはクリートエルグ前まで送ってくれるって言ってたけど、
断って僕は家路に着いた。

帰宅したらママにちょっと怒られたけど、僕は特に気にならなかった。


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