Ich verliebte mich in Sie.

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第九話 恋と愛

嫌な夢を見ていた気がする。
思い出したくもない昔のトラウマ。
だけど何かが、あたたかい何かが、僕を救ってくれて、心が穏やかになった。



恋と愛





目が覚めたら、自宅のベッドの上だった。
右手があたたかい。
僕は驚いて目を見開いた。

「リアベルちゃん…」

ベッドの上に頭を乗せて、左手で僕の右手をしっかりと握って、
眠るリアベルちゃんの姿があった。
眠っているときに感じた温もりの正体が分かると、思わず頬が緩んだ。
彼女に醜態をさらしたくなくて、「大丈夫」だと意地を張った。
それなのにキミはそばに居てくれたんだね。
僕は確かにこの子を支えてあげたいと思った。
だけど昨夜支えられたのはどうやら僕の方みたいだ。

「ありがとう」

彼女を起こさないよう優しくあいてる手で頭を撫でた。
名残惜しかったけど、彼女の手を離して、ベッドに寝かせた。
キミの寝顔をこのまま見ていたい気もするけど、
キミが起きたときの為に、朝食の準備でもしようかな。
台所に向かうと、昨日は使った覚えのない鍋があった。
不思議に思って蓋を開けるとシチューが作ってあって、
僕は思わず笑みをこぼした。
朝食は用意されている。
それなら、もう一度ベッドに戻って彼女の寝顔を眺めているのもいいかもしれない。
と思い直した僕はベッドで眠るリアベルちゃんの隣に横たわり、
彼女の寝顔を堪能することにした。



目が覚めていくつか驚いたことがある。
まず、私がベッドに横になっているといること。
昨日は確かにベッドサイドにいたはずだ。
次に私の目の前に、まぁ正確には隣なんだけど、ガルデルさんが寝ていること。
そして最後に、その彼に抱きしめられているというこの状況。
一体全体何がどうなっているの!?
とにかく、彼の腕の中から抜け出そうと試みるも、なかなか難しかった。
起こさないように腕を動かそうとしてみたけど、
私の背中に回っている彼の腕は力強く、私なんかの力じゃびくともしなかった。
…この人本当に寝ているのだろうか?
そう思って顔を上げると、そこには笑いをこらえているガルデルさんの顔があった。

「い、いつから起きてたんですか!?」
「キミが起きたときから」
「最初からじゃないですか!」
「そうだね」

悪びれもしない彼に思わずため息が出た。
だけど、楽しそうに笑うからいいか。と許してしまう私がいる。
何も聞かないと決めたけど、気にならないと言ったら嘘になる。
彼の口からでたあの一言だけが、どうしても頭から離れない。「パーシス」。
聞きたいけれど、聞いたらアナタが離れていってしまいそうで、怖くて聞けない。
…聞きたくないのかもしれない。

「ガルデルさん、お腹すいたんでご飯にしませんか?」
「そうだね」
「じゃあ離してください」
「リアベルちゃんがキスしてくれたら離してあげる」
「なっ!むっ無理ですっ」

い、いきなり何を言い出すのこの人!思わず声が裏返っちゃったし。
すっごい楽しそうっていうか、満面の笑みだし!
ご飯食べるには離してもらわないといけないし、
離してもらうにはキスしなきゃダメで!?でもそんな…やっぱり無理!

「べつにいいけど、キミは堪えられるの?」

さわやかな笑顔でそんなこと言っちゃうの!?
こんな状況堪えられるわけがない!本当、恥ずかしくて死にそう…。

「あ、あの。……てくだ…い」
「うん?」
「私からは、まだ無理なの、で、ガルデルさんから…して、ください」

言った!言えた!本当これが今の私の精一杯なんです。勘弁してください。
そして本当に早く離して下さい、私の心臓が持ちません!止まります、本当に!!

「いい子だね」
「んっ…」

私の言葉を聞いて、不敵に微笑んだガルデルさん。
あぁ、この人とこれから一緒にいるということは、
こういうことが多々起きるっていうことかな、なんて。
ガルデルさんからのキスを受けたらそんなことどうでも良くなっちゃって、
心の中に引っかかっている、知らない女性の名前のことも忘れて、ただただ幸せだなって思った。
その後は、ガルデルさんもちゃんと離してくれて、二人で昨夜作っておいたシチューを食べた。



家に帰ると、当たり前だけど静かで、ちょっぴり寂しく感じた。
それと同時に、自分は浮かれてばかりいて良い立場じゃないことも思い出した。
明日からしばらくはティルグに通おう。恋に現を抜かしている場合じゃない。
棚の上に飾っている三つの写真立てのうち、一つを手に取った。
移住してきて初めて荷物を開いて見つけた、入れた覚えのない三枚の写真。
一枚は両親と兄たちと撮った家族写真。
残り二枚は、父さんしか持っていないはずの祖父母と曾祖父母の写真。
写真の裏には父の字で書かれた「がんばれ」の文字。
移住して改めて父さんの愛を知った。だから、私はがんばらなきゃいけない。



「パーシス」という名前が、私を苦しめるなんて、このときの私はまだ知る由もなかった。
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