Ich verliebte mich in Sie.

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第五話 ゆらゆら揺らぐ

 あの日、移住して初めて言った「おかえり」は、心地よかった。
 胸がほっこりと温かくなって、ちょっぴり幸せだと思った。



ゆらゆら揺らぐ





二日酔いでハーシェルさんにお世話になった翌日、
エルグに行くと鬼の形相でロカールが詰め寄ってきた。
…まぁ、当然だよね。

「ちょっと!リーアーベールー!!心配したじゃない!
 昨日はどこにいたのよっ、吐きなさい!ほらっはやく!!」
「ろっロカール、言う、言うから…手、離し…て…」

首!首取れちゃうからガクガク揺さぶらないで!
ようやくロカールの揺さぶりから開放された私は一度深呼吸をする。

「で?あんた昨日どこにいたのよ。
 エルグに来ないから体調悪いのかと思って様子見に行ったのにいないし」
「…ハーシェルさん家」
「…はい?え、ごめん今なんて言った?」

移住してから何かと良くしてくれて、
同い年って事もあってロカールとはすぐに仲良くなった。
私と同い年なのに一児の母だし、今年の末には二人目生まれるし。
とにかく姉御肌な彼女に隠し事なんて到底無理な話。

「だから、一昨日の夜一緒にお酒飲んで、私が酔いつぶれて、
 昨日は二日酔いで…ハーシェルさんにお世話になっていました!」

自分で言っててなんだかあきれてきた。
年頃の娘がそんなんで良いのか!?
…まぁ、失態してしまった事実は今更変わらないし、次気をつければ問題ないし。

「ちょ、それ本当なの?」
「うん」

私の話を聞いたロカールは周りをみまわし、
少しだけ声のトーンを落として真剣な表情で聞いてきた。
それもそうだよね。仮にも独身の女と男…だし。
実際には何もなかったわけだけど、世間体が悪い。

「で、あんた体は平気なの?」
「え?うん。元気だけど?」
「そうじゃなくて、手を出されてないかってことよ」
「あぁ、大丈夫」

二日酔いで頭痛は酷かったけど、体に違和感はなかったし、たぶん大丈夫。…たぶん。
それに私は故郷で、色目で…欲情した目で見られることも少なくなかった。
小さい頃は分からなかったけど、成長するにつれてそういう目に嫌悪感を抱くようになった。
けれどハーシェルさんの、あの綺麗なアイスブルーの瞳には、嫌悪感を抱かなかった。

「ねぇ、この前も聞いたけど、リアベルはハーシェルさんに気があるんじゃないの?」
「まさか。そりゃ、一緒にいて嫌な気はしないし、
 ちょっとくらいは安心感があるような気がしないでもないけど…」
「(世間ではそれを、気があるっていうんだけれどね…)」

ロカールが心の中でそんなことを思っていただなんて、もちろん私は知る由もなかった。



今夜の夕飯は何にしようか。
とりあえず市場に行ってみようと、市場の前を通りかかった時彼女を見かけた。
真剣にロツを見比べている。
夕飯の献立を考えてるのかな?って思ったらかわいいと思った。
昨日は帰宅したら驚いたな。
急いで帰って、家のドアを開けたら「おかえりなさい」って。
移住してから初めて言われた言葉。
そんな言葉、今まで求めていなかった気がする。
まったく…どうかしてるな。
…だけど、彼女になら。リアベルちゃんになら言って欲しいと思った。
っと、僕も買い物…は、いいや。家にあるものでなんとかしよう。
そうして家路に着こうとすると、何故か彼女が僕の前方を歩いている。
確か彼女の家はシーラル区じゃなかったかな?
僕は足早に彼女を追いかけて、声をかけることにした。



「リアベルちゃん」

低く、耳に心地よく響く声。ここ最近良く聞く声だ。
振り返ればやはりハーシェルさんが立っていた。タイミングの良さに思わず笑みがこぼれる。

「ハーシェルさん!よかった、今からお宅に伺おうと思ってたんです」
「うちに?あ、忘れ物でもした?」
「いいえ。昨日はすごくお世話になっちゃったので、お礼にお夕飯を一緒しようかと思って」

「気にしなくてもいいのに…」と笑う彼にちょっとだけ、
本当にちょっとだけ鼓動が早くなった気がした。
おかしいな。…おかしい?ハーシェルさんと話していると楽しい。
男の人なのに?優しい皮をかぶった狼かもしれないのに?

「夕飯、どこかに食べに行く?」
「あ、あの。迷惑じゃなかったら私が作ります」
「本当かい?楽しみだなぁ」

笑うハーシェルさん。私の少し前を歩いていく。
さりげなく私の持っていた荷物を持って。
誰にでも優しいのかな?
…私だけだったら良いな、なんて思っている自分にびっくりした。
おかしいな。夢が叶うまで恋はしないって思っていたのに。
そういう事に関わりたくないって思っていたはずなのに。
そんな、何だか恥ずかしい考えを打ち消すように頭を振ってハーシェルさんの背中を見た。
その広い背中が、なんだか寂しそうに見えたのは私の錯覚だろうか?

「ハーシェルさん」
「ん?なんだいリアベルちゃん」

笑顔で振り返ったハーシェルさん。あぁ、私は…。



ハーシェルさんの…ガルデルさんの笑顔、好きだ


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