Ich verliebte mich in Sie.

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第二話 新しい国で出会ったあの人

 移住船に飛び乗って、たどり着いた新しい国。
 私は今日、この瞬間から夢を叶える為に新しい一歩を踏み出す。



新しい国で出会ったあの人





私が移住した国はイモジェン・ランス女王陛下の治める国だった。
配属されたのはシーラエルグで、家はシーラル区5-2。
初めての仕事、初めての一人暮らし。心が躍った。
移住者って事で周りの人から見られることはあっても、
私の一挙手一同見逃さないとでも言うように私を見てきた故郷の人たちとはぜんぜん違う。
私は自由だ。
エルグ長のオルタンシアさんはとても親切に仕事を教えてくれたし、
ティルグに入りたいといえばどうすればいいのかも教えてくれた。
朝は仕事、昼はティルグで訓練し、夕方はお買い物。
私の新しい生活は充実していて、今まで辛かったことが嘘みたい。
そんなある日、私は時間も忘れて訓練に夢中になっていた。

「いけない、市場が閉まっちゃう」

市場へと向かう途中の曲がり角で急いでいた私は不意の出来事に対応できず、
誰かとぶつかって、体が後ろに傾いた。

「きゃっ」
「あ…」

いつまでたっても予想していた痛みは来ない。
気がついたときには、腕が力強く引かれ先ほどまでとは逆方向に自分の体が動いていた。

「キミ、大丈夫?」
「え?は、はい。あの、ごめんなさいぶつかっちゃ…っ!」

私は頭上から聞こえてきた声に反射的に顔を上げるも、
思っていたよりも相手の顔が近くにあって、驚いて言葉がつまりついでに顔も赤くなった。

「そう。それならよかった。気をつけないと危ないよ」
「本当にすみませんでした。そうですよね、もし小さい子にぶつかったりしたら…」
「そうじゃなくてね、キミがだよ」

私の言葉を否定した彼の言葉が理解できなくて私は首をかしげた
。だってぶつかった相手が危ない以外に何が危ないのか分からなかったから。
そう思っていた私の耳に飛び込んできた彼の言葉を理解するのに一瞬の時間が必要だった。

「…はい?」
「女の子なんだから気をつけなくちゃダメだよ」

あ、なるほど。そういうことか。そういう言葉はもう聞き飽きた。
女の子だから…女の子だから…女の子だから…。
…私の嫌いな言葉だ。私はムッとしてぷいっとそっぽを向いた。

「その言葉嫌い…」
「ん?何か言ったかい?」

私がつぶやいた言葉は幸い相手には届かなかったようだ。

「いいえ、何も。以後気をつけます」

相手に頭を下げてその場を去る。あ、そういえば名前聞かなかった…。
でももう会わないかもしれない。
あの人はロークエルグの人みたいだし、早々会うことはないだろう。…たぶん。
結局この日、市場には間に合わなかった。



不思議な女の子だった。
「女の子だから」と、女の子扱いすれば大抵の女の子は機嫌を損ねないし、
門も立たなかった。けれど彼女は違ったようで、「その言葉嫌い…」とつぶやいた。
面白い子だ。
シーラエルグの子みたいだし、平日はなかなか会えないかもしれないな。
でも、もしまた会えたらそのときは名前を聞いてみようと思う。まずはお友達から、ってね。



休日、仲良くなったロカールと一緒に出かけた。
なんとなく、本当になんとなく、この間会った男の話をした。

「きっとハーシェルさんね」
「ハーシェルさん?」
「えぇ、ガルデル・ハーシェルさん。彼も最近移住してきたのよ」
「ふぅん」

移住者だったんだ。ハーシェルさん。…ガルデルさん。
笑顔はさわやかだったけど、あれは女たらしの顔ではなかった…と思う。
話を聞く限り移住してきて日が浅いってのもあるんだろうけど、恋人はいないらしい。
それどころか仕事ばかりであまり女の子と話しているところを見ないらしい。
あくまで噂だし、信憑性はないけれど。

「何々?リアベル、ハーシェルさんに気があるの?」
「なっ!違うわよ!仮に気があったとしても私…今はまだ結婚なんて考えたくない」

“結婚”っていう言葉を聞くとどうしても故郷を思い出してしまう。
いつか、あんなこともあったね、なんて笑える日が来るかもしれない。でも今はまだ…。

「あ、そろそろ私は帰るわね。旦那が待ってるから」
「うん。また明日エルグでね」
「えぇ、また明日!」

ロカールと別れると、ほんの少しだけ寂しさがこみ上げた。
末っ子の私はそれなりに甘やかされて育った方だと思う。
…女の子だからってのもあったんだろうけど。

「今まで一人になることなんてなかったし…ってダメダメ。落ち込んでる暇なんてない。さ、訓練訓練」

たまにはティルグじゃなくて、光の川辺に行ってみてもいいかもしれない。
もう日が暮れそうだけど、今日は暑かったし少しくらいなら大丈夫。
私は足早に光の川辺へと向かった。

このときの私は、まさかそこであの人と再会するなんて思ってもみなかった。


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